誤解されたり決めつけられたりしやすいのです
うつ病は、人それぞれ、症状の出方が違います。
代表的な症状だけでも、これだけあります。
《心の症状》
・憂うつな気分が続く
・集中できない
・悲観的な気持ちになる
・やる気が出ない
など……
《体の症状》
・よく眠れない
・疲労感、倦怠感が続く
・食欲がない
・動悸やめまいがする
など……
これらの症状は、すべて出るわけではありませんし、
人によって重かったり軽かったりします。
さらに、いくつかの症状が組み合わさってあらわれることが
ほとんどです。
専門の医師でさえ全く違う病気だと診断することさえあるのです。
ですから、一口にうつ病と言っても、
「この症状が出ているからうつ病」、
「この症状が出ていないからうつ病ではない」とは
言えないのです。
そして、うつ病は大きく2種類に分類されています。
・大うつ病
・双極性障害
大うつ病というのは、うつ病と言われて思い浮かぶような、
典型的なうつ病です。
重症のうつ病という意味ではありません。
双極性障害というのは、ハイテンションの状態とうつ状態を
行き来するタイプのうつ病です。
気持ちの落ち込みが周囲から見えない場合もあります。
さらに最近は、従来のうつ病とは違うタイプのうつ病も
多くなっています。
うつ病への理解がある程度広まっている今では、
大うつ病とは違うタイプのうつ病にかかっている人への
誤解が多いようです。
《従来とは違うタイプのうつ病》
・微笑みうつ病
・非定型うつ病
・季節性うつ病
例えば、こんな誤解を受けることがあります。
・いつもニコニコして元気そうだから、うつ病なわけがない
・うつ病なのに旅行に行ったりして遊んでいる、詐病に違いない
微笑みうつ病の場合、周囲に心配をかけないために、
ニコニコ笑って明るく振る舞います。
一方で、一人になると抑うつ症状からふさぎ込むのです。
非定型うつ病の場合、嬉しいことや楽しいことがあると、
気持ちが明るくなります。
従来のうつ病では、嬉しいことや楽しいことがあっても
気分の落ち込みが続くのが一般的だったため、
「甘え」や「詐病」と捉えられてしまうのです。
また、このうつ病は体にあらわれる症状も
従来のうつ病とは違うため、本人も自分がうつ病だと
気付きにくいのです。
悲しいことですが、まだまだうつ病に関する理解は
不足しています。
うつ病自体がわかりにくく、複雑な病気ですし、
他者が人の苦しみを完全に理解することは難しいのが
現実です。
ですが、どうか簡単に「あの人はうつ病じゃない」
「甘えているんだ」「怠けているんだ」などとは
言わないでください。
本人は、うつ病の症状によって、とても苦しんでいます。
そして、本来はできていたことができないでいる自分を責めています。
もしかしたら、うつ病であることを受け入れられずに悩んでいる
かもしれません。
誤解や決めつけは、その思いに拍車をかけて追い詰めてしまうのです。
うつ病は、今や誰がかかってもおかしくない病気です。
『心の風邪』とさえ言われています。
風邪のように、誰がかかってもおかしくない病気なら、
誰もが理解し、受け入れていくことが必要とされている
はずなのです。