戸惑いますよね?家族からの声かけ・会話
うつ病と診断された人を前にして、色々と気を使いすぎて「なんて声をかけたらいいのか分からなくなる」ことが多いようです。
逆に心配しすぎて、「散歩でもしてきたら」「旅行でも行こうよ」とアドバイスをしつこくしてしまう場合もあります。
しかし、それは「風邪をひいている人に“薄着”でいろ」というくらい本人にとっては辛い言葉です。
うつ病の人は、倦怠感や不安感、絶望感がひどく、「何かをしたいとも思わない」のです。
ですから、簡単にできることを提案したとしても、本人にとっては非常にエネルギーのいることであり
「その程度のことも自分はできないのか」と嘆いてしまいます。
仮に、アドバイスを受けて「じゃあやってみるか」と期待に応えようと「頑張ってしまう」と症状がさらに悪くなるケースもあります。
ですから、無理に話しかけたり、提案をしつこくしたりするのは、本人にとって良くないのです。
無理に話しかけるのはNGですが、会話は本人にとってストレス解消にもなります。
そこで、大切な会話は「何気ない会話」です。
本人の病気のことがいつでも話題に上がると、本人にとって負担です。
普段の穏やかで温かい会話の中には、実は隠れているメッセージがあります。
それは「今のままでもいい」ということ。
うつ病の人は、「自分の価値がない」と自己肯定感が低くなっています。
その中で、「病気の自分がいても家族は変わらず笑顔である」という場面を見ると、
たとえ外見には現れないかもしれませんが、本人は「ここにいていいんだ」と安心します。
返事ができなくても、笑顔になっていなくても、こころはほぐれていっているのです。
何気ない会話というのは、季節のこと、テレビのこと、ゲームのこと、食べ物のことなど、病気に関すること以外ならなんでもいいのです。
「昔、お前が遠足で行った○○、今ライブイベントやってるんだってよ」
「あそこのケーキ屋さん、新作出たんだって」
こんな普通に話す出来事でいいのです。
こういう楽しく暖かみのある会話が、本人のこころを安定させていっているのです。
家族や周りの人は、「いつになったら良くなるのか」と心配したりイライラしたりして、病気の話題に触れがちですが、本人の前ではそれは逆効果です。
本人の病気を治したいのであれば、普段通りの会話をすることが実は近道なのです。