「なにがなんでも治す」「完璧に治す」は、つらい……
今やうつ病は、誰がかかってもおかしくない病気です。
生活習慣病と言えるのでは、と語られることさえあるほどです。
うつ病は、回復することができる病気ですが、
回復への道のりは、決して簡単ではありません。
しかし、休学や休職をして療養している場合は、
特に、「早く治したい」と思ってしまうのです。
ところが、「なにがなんでも治さなくてはいけない」や
「完璧に治さなくてはいけない」という思いは、
本人を追い詰めてしまいます。
焦って、急に生活のリズムを整えようとしたり
運動習慣をつけようと無理に体を動かしたりすれば、
それは、心にも体に大きな負担になるのです。
どちらも、うつ病の治療に重要なアクションですが、
タイミングというものがあります。
新しいアクションを始める時は、気力が充実してきた時や
医師やカウンセラーの判断で許可が出た時に行うものなのです。
頑張りすぎる、という点については、
うつ病にかかった人のご家族にも言えることです。
身近な人がうつ病にかかった時、もちろん、
心配をするでしょう。
大切な人がつらい思いをしていることに苦しみを感じ、
「早く治ればいい」と考えるのは当たり前です。
うつ病にかかった人をサポートする際に、
頑張りすぎたり焦りすぎたりしないために、
覚えていていただきたいことがあります。
1つは、うつ病の回復までには『段階』があるということです。
大きく分けて、下記の4段階を通って、社会復帰へと進みます。
・前駆動
・極期(急性期)
・回復期
・中間期
この段階も、決して一本道にまっすぐ進めるわけでは無いので、
行ったり来たりする場合もあります。
もう1つ覚えておいていただきたいのは、
うつ病にかかった本人についてです。
彼らは、うつ病によって思考力や判断力が低下しているため、
考えが歪められてしまいます。
その結果、病気でなければ考えないような思考に陥ったり
その考えに固執してしまったりすることが起こるのです。
だからこそ、極端な行動を止めたり、または改善を促すような
周囲の助力が必要とされます。
大切な人が、「うつ病を治したい」と必死になって
無理をしていたら、一息つかせてあげてください。
「うつ病を治す」ということは、
以前の状態に戻すことではありません。
それでは、また、うつ病になってしまうでしょう。
「うつ病にならない状態」へと改善していく必要が
あるのです。