ありのままの事実だけを見て。
うつ病になると「励まされている自分が情けない」「心配されて申し訳ない」などと強い自責の念に囚われがちです。
しかし、段々と症状が良くなると、物事を思い込みで見ている自分に気づき、事実だけを見るように変わっていきます。
そして周囲の人の助けや心配も素直に受け入れることができるようになります。
【本人の体験談】
「なんでも相談してね」と言われたとき、自分を落伍者のように感じました。
その言葉をノートに書き、視点を変えるには、と考え続けました。
すると突然、この人は親切なのかも、とひらめいたのです。それ以来、人の言葉を素直に聞くようにしています。
(引用元:うつ病の人の気持ちがわかる本 P72)
この体験談から感じ取れるように、うつ病の人は物事を素直に受け取ることができません。
しかし、それをノートに書いて客観的に判断したことで、「親切だ」という気づきが起こりました。
想像や思い込みの主観の判断から脱出し、視野が広がり、ありのままを見ることができるようになったからです。
【視野が広がり、気づけたことの事例】
・うつ病を患っていても、健常者よりハンディがあるわけではない。自分にもできることはあるし、健常者でもできないことはある
・妻と子を養えないとダメ人間と思い詰めていたが、夫であり父であることが自分の役割なんだと、存在そのものの大切さに気付いた
・うつ病だからリストラにあったと考えていたが、人生を病気のせいにするのはやめようと思った。会社の経営難もあったのだろうし、病気が理由ではなかったのかも
・(庭の草木をみて)植物の生命力を感じた
このように、今までは自分のマイナス面のことだけしか見えていなかったのですが、
視野が広がることで様々な気づきが得られるようになるのです。
時間の経過の中で症状が緩和し、色んな気づきが増え、視野が広がることもありますが、
認知療法などの精神療法も効果的です。
うつ病の人は「自分はダメだ」と悲観的に捉えがちになってしまいますが、
思い込みや想像ではなく、ありのままの事実を見るようにしましょう。
現実を捉え、気持ちを整理することで、自己理解と他者理解ができるようになり、
様々な気づきが得られるようになります。