うつ病の原因は1つではない!
うつ病を発症するきっかけは人それぞれ、さまざまです。
多くは、重要なできごとが起こった後や長く過労状態が続いているなど、
大きなストレスを感じる状況に起こります。
ですが、同じ経験をした人のすべてがうつ病になるわけではありません。
ストレスに対する反応は、人によって違うものだからです。
1人の人間は、いろいろな要素が組み合わさって構成されています。
例えば、『遺伝』だったり、『育った環境』、
または『性格』や、『脳の機能』、『現在おかれている環境』などがあるでしょう。
『遺伝』というのは、脳の機能の発達のしかた、
あるいは、性格をつくりあげていくうえで欠かせない要素です。
そして、心がどうあるかを決める基になる部分です。
うつ病には遺伝が関係しているという研究が進んでいますが、
これという遺伝子が原因になっているわけではありません。
なぜなら、遺伝子情報が同じ一卵性の双子だとしても、
1人がうつ病になっても、もう一人はうつ病にならないということも多いからです。
『育った環境』は、家庭内の環境や育てられ方もそうですが、
学校や地域の活動などの文化面からの影響も含まれます。
『性格』や『脳の機能』は、
その人の行動や思考に関する独自のパターンのことです。
『現在おかれている環境』というのは、職場や家庭といった、周囲の環境のことです。
学校や職場での人間関係、家族との関係などが含まれます。
他にも、家族の愛情や友人の支え、社会福祉などが、私たちを支えてくれています。
このように、人間を1人つくりあげるためには、
実に多くの要素が積み重なり、複雑に絡み合っているのです。
例えば、試験に失敗してしまった時、
「次の試験で頑張ればいい」とすぐに切り替えられる人と、
「どうしてできなかったんだろう」と引きずってしまう人がいますよね。
性格もありますし、ものの捉え方の違いもあるでしょう。
同じように、同じ環境で同じ経験をしたからといって、
すべての人が同じストレスを感じるわけではありません。
すべての人がうつ病になるというわけではないのです。
そして、うつ病の原因は一つに絞れず、
遺伝だけ、性格だけ、ストレスだけ、ということは難しいのです。
いろいろな方向から確認して、複合的に考えなければ、
うつ病の本当の原因というものは見えてこないのです。