うつ病は誰でもかかる可能性がある身近な病気
ここからは、本当にうつ病が身近な病気なのかを数字で追っていきましょう。
2014年の厚生労働省による調査でうつ病の患者数は111万人にものぼることがわかりました。
これは統計が比較できる1996年の43万人以降で最も多くなっていて、この15年で約2.5倍に増えているのです。
また性別に見ると、女性は男性のおおよそ2倍の患者数!
さらにうつ病患者の4人に3人はきちんと医師を受診していないとするデータもあり、
潜在的にもっと多くの患者がいることは確かです。
いまや10人~15人に一人が生涯に1度はうつ病になると言われおり、
30代の働き盛りに多いと言われてきたこの病気はいまや高齢者、子どもにまで見られるようになっているのです。
これらのことから、うつ病は本当に誰もがかかる可能性のある“ありふれた病気”と言えますね。
日本の自殺者の数は、年間3万人前後にのぼっています。
また、内閣府の発表によると自殺の原因が健康問題である人の内、うつ病である人はなんと42.1%だそうです。
この数字はうつ病と自殺が密接に関係していることを明らかにしていますね。
うつ病が死に結びつく可能性がある以上、病院で治療を受けるべきなのですが、
前項でもあった通りうつ病患者の4人に3人は適切な治療を受けていないというデータがあるのです。
これは日本人の国民性に起因していると考えられます。
古くから日本人の美徳として根強い「耐え忍ぶ気持ち」や「謙虚な心」。
これらを持つことを暗黙の了解で半ば強制され、このことがうつ病の“辛さ”を“甘え”に置き換えてしまい、病院への足を遠ざけているのです。少なくとも、受診へのためらいを引き起こしているに違いないのです。
このように症状に悩む人のうち、ごくわずかな人だけが病院で治療を受けているのが現状です。
つまり、”自殺はうつ病の症状の一つ。一方でうつ病は自殺を引き起こす。”という関係性が指摘できるのですね。
うつ病は脳の病気です。誰が悪いわけでもありません。
この世でたった一つの大切な命を守るために、うつ病のことを正しく学んでいきましょう。
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