薬物療法と心理療法
こういった声が見られるのは、うつ病の種類や症状によって治療をせずに、
ただ「非定型うつ病だ」と診断して薬物療法のみを進める医師がいたり、
「大うつ病だ」と診断して心理療法のみを進める医師がいたりするからでしょう。
近年「新型うつ」という言葉がマスコミやインターネットによって取り上げられ、メジャーになってきています。
この「新型うつ」は若者に多く、「非定型うつ」「気分変調症」というものが「新型うつ」に該当します。
特徴としては、普段は気分が落ち込んでいても、何か楽しいことがあると一時的に気分が良くなるということがある点です。
この「新型うつ」は「昔のうつ病」(=内因性うつ病、メランコリー親和型うつ病)に効いていた薬物の効果が薄いとされています。
そして医師の中には安易に「昔のうつ病」に効いていた薬を使用するよう指示するケースもあるようです。
そのため薬が効かず治療が長引いてしまい、そしてそういうケースがあることから薬への不安につながっているのです。
元々1990年ころは、うつ病と診断しても薬を使用せずに、性格や考え方の問題として捉えて治療していたようです。
しかし、「抗うつ薬の効き目はありますよ」という啓発活動として、薬が効く人には「うつ病」と診断して薬を使いましょうという動きがありました。
そして、いつのまにかうつ病=薬の投与という流れになったそうです。
しかし、本来薬物療法と心理療法はちょうど車の両輪のようなものです。
薬物療法が効くとか、心理療法が有効だとかではなく、その人の症状や状態によって変えていく必要があります。
それはうつ病の種類、状態によって効果の見込めるものとそうでないものがあるからです。
抗うつ薬も色々なものがありますが、心理療法もたくさん種類があります。
心理教育、疾患教育も心理療法です。
つまり、十分にうつ病の人の話を聞いて、十分に病気の説明をして、十分に治療方針を理解してもらうということです。
これだけでも、症状が良くなっていく場合があるそうです。
よく書店でも見かける「認知行動療法」「認知療法」「精神分析療法」「対人関係療法」だけが心理療法ではないのです。